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「仕事で年収が上がっても、婚活では評価されない」問題

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Curet編集部です。今回、あたたかく優しく女性を力づけてくださることで人気の作家、アルテイシアさんに「仕事で年収が上がっても、婚活で評価されないのがつらい問題」を語っていただきます。

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男は仕事、女は家庭という古ぼけたジェンダー観

今回は「仕事で年収が上がっても、婚活で評価されないのがつらい」という女子の悩みに答えたい。

 

男は年収が上がると婚活で評価されるのに、女はそうじゃないし、高収入だと敬遠されることすらある。自分の努力や能力が評価されないのは納得いかん…パリーン!!

 

と皿を叩き割る女子には心から共感するし、拙者も皿割り合戦に参上いたす。

 

年収に対する評価が男女で非対称的なのは、「男は仕事、女は家庭という古ぼけたジェンダー観があるからだ。

 

ひと昔前は、女性が働いて自立するのが無理ゲーだった。「女は男に養われないと食っていけない」という性差別的なシステムの上に「大黒柱の夫と専業主婦の妻」が成立していた。

 

44歳の私の親世代は「男尊女卑のモラハラ夫と、それに耐える妻」がド定番だった。

 

うちの父親も「誰が食わせてやってるんだ!」と決めゼリフを吐き、ちゃぶ台を引っくり返しはしなかったが(家にちゃぶ台がなかったので)、「俺が生殺与奪を握ってるんだ」とアピールして、妻子を支配しようとする男だった。

 

「男は稼いでナンボ」「家事育児は女の仕事」という、家庭に無関心な仕事人間だった父は、最期は全てを失って飛び降り自殺エンドとなった。

(詳細は『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』をチェキ★)

 

彼は「家父長制モンスター」「浪速のトランプ」みたいなおっさんだったが、それは昭和の量産型お父さんでもあったのだ。

「妻にも働いてほしいけど、自分より稼ぐ妻はイヤ」な令和夫


一方、令和の婚活世代にトランプみのある男子は少ない。が、以下のような思考の男子は比較的多いだろう。

 

「自分1人が大黒柱になるのはキツいし、妻にも働いてほしい。でも自分より稼ぐ妻はイヤだな、男のプライドが傷つくから

 

「それにバリバリ働く妻は、家事育児をちゃんとしなさそう。自分も一応手伝うけど、あくまで妻がメインでやってほしい

 

「世帯収入が増えるのは助かるけど、自分の家事育児の負担が増えるのは困る。仕事しながら主婦業もこなして、夫のケアもしてくれる女の子いないかな~

 

笑止!!!パリーン!!!

 

と皿を割る音が聞こえる。鬼の形相で皿をぶん投げるガールズに問いたいのは「こんな男にモテたいか?」である。

 

結婚はモテよりマッチング。結婚は選挙じゃないから、多数の票を集めても意味なくて、自分にぴったりの1票さえゲットすればいい。むしろ、たった1票を選ぶからこそ難しい。

年収が上がったとき、喜んでくれる夫を選べ

そして、結婚は単なる箱で、中身は50年の共同生活。この世でたった1人と50年暮らすのだから「どんなパートナーと、どんな生活を送りたいか?」と自身に問いかけてほしい。

 

では質問します。

あなたが仕事を頑張って年収が上がった時、夫にどんなリアクションをしてほしいですか?

 

きっと「仕事頑張ってたもんね、よかったね」と一緒に喜んでほしいだろう。そこで嫌そうな顔をされたら、エアちゃぶ台をぶん投げたくなるだろう。

 

「自分より稼ぐ妻はイヤ」という男は、妻より上の立場でいたい、夫婦を対等なパートナーだと思っていない男である。

 

そういう男は男尊女卑マインドを内蔵した、モラハラ予備軍でもある。 

 

彼らは「自分の方が稼いでるから、妻が家事育児を多くやって当然」と主張する。妻が「現実に生活が回らなくて困ってるから、あなたの分担を増やしてほしい」と訴えても、まともな話し合いができない。

 

不機嫌になったり逆ギレしたり、「キミが悪い」「キミが間違ってる」と攻撃したりと、モラ仕草を見せつける。

 

モラ男は「妻は夫が支配できる所有物」「妻は思い通りになって当然だし、自分は妻にケアされて当然」と認知が歪んでいるため、妻が思い通りにならないと「自分の権利を奪われた」と被害者ぶるのだ。

 

そんな男と結婚するのは真っ平DEATH!!と、皆さんTHの発音で言うだろう。

 

であれば「仕事を頑張っても評価されない、つらみ…」と落ち込まず、発想を切り替えてほしい。「雑魚モテしても無駄無駄無駄ッ!ベストパートナーを一本釣りしてやる!」と奮起してほしい。

 

一本釣りするために、拙者のコラム恋愛初心者が1年以内に結婚する方法」「彼氏いない歴=年齢の女性のための婚活攻略法を参考にしてもらえれば幸いだ。

ベストパートナーは婚活石の裏にひっそり隠れている


手前味噌だが、上記のノウハウを実践して「ベストパートナーと結婚できた」という報告をよくいただく。

 

彼女らはジェンダーイコール男子をゲットして、対等に尊重し合える関係を築いている。

 

妻が仕事で成果を上げたり、年収やキャリアがUPした時、夫は「頑張ってたもんね、よかったね」と喜んでくれるという。

普段から話し合って家事育児を分担して、妻の仕事が大変な時はサポートしてくれるそうだ。

 

「そんな男はUMAでは?」と皆さんおっしゃるかもしれない。

 

彼らはちゃんと実在するが、石の裏とかにひっそり生息している。イケメンで話し上手とかじゃないし、地味で目立たない奥手タイプなので、粘り強く石を引っくり返さないと発見できない。

 

かつ女子からデートに誘ったり、お試し交際を提案したりと、主体的に動かないとゲットできない。

 

つまり女子の側も「男にリードされたい」という期待を捨てて、受けから攻めにチェンジする必要がある。

 

またジェンダーイコール男子と結婚した彼女らは、ベストパートナーかどうかを見極めるため、いろんな質問をしたという。

 

保育所不足、マタハラ、不妊治療、DV問題、貧困問題、LGBT…等など、いろんな話を振ってみれば、相手の人間性や価値観をチェックできる。

 

かつ交際中には、いろんなテーマでとことん話し合ったという。

 

家事の分担について、子どもを持つか持たないか、夫も育休を取れるのか、家事や育児のアウトソース…等など。

「もしどちらかが不妊だったらどうする?」「子どもが発熱して、どちらかが仕事を休まないといけない場合はどうする?」など、具体的なことまで話し合ったそうだ。

 

「とはいえ言葉では何とでも言えるので、1年間、期限を決めてお試し同棲しました」「一緒に暮らすとケンカやトラブルもあるけど、その時にちゃんと話し合って歩み寄れるか?を確認してから、結婚を決めました」と語る女子も多い。

 

そういった努力をして、たった1人のパートナーをゲットしたのだ。

夫を、パートナーを選ばれる努力ではなく、選ぶ努力を

私は女子に「選ばれるための努力」よりも「選ぶための努力」をしてほしい。そのために「どんなパートナーと、どんな生活を送りたいか?」をリアルに想像してほしい。

 

巷の恋愛コラムでは、男受けやモテテクが指南されているが、それらは「男にとって都合のいい女になれ」という指南だったりする。また「恋の駆け引き」的な指南も多いが、駆け引きを50年続けることなどできない。

 

めっちゃモテる美人が男選びに失敗して地獄行き、みたいなケースを皆さんもひとつやふたつはご存知だろう。拙者はむっつぐらいご存知でござる。

 

「誰でもいいからとりあえず結婚しろ」「選り好みするな」とか抜かす老害がいるが、50年暮らすパートナーが誰でも言いわけないだろう。

 

結婚は単なる箱で、中身は50年の共同生活。「この箱さえゲットすれば幸せになれる!」と飛びつくと、箱を開けたらウンコみっしりケースになりかねない。

支え合えないパートナーなら、いない方がマシ


共稼ぎ婚をしていた女友達は、高収入の夫から「だったら俺より稼いでみろ、そしたら俺も家事をやるよ」と言われて「支え合えないパートナーなら、いない方がマシだ」と離婚を決めた。

 

別の女友達は仕事を休んで主婦業をしていた時期に「あなたが働いて稼いだお金だから、大切に使いたい」と夫に言うと、「あなたが家のことをしてくれるお陰で僕は働けるんだから、これは2人で稼いだお金だよ」と言われたという。

 

「結婚」という箱でも、中身はみんな違う。皆さんにはウンコじゃなく黄金(暗喩ではない)の入った箱を選んでほしい。

 

ちなみにうちの夫婦はお互いの年収を知らないし、夫に至っては自分の年収がいくらかも知らない。

 

以前、夫に老後資金の話をしたら「いずれ文明は破たんして紙幣は紙クズになるぞ」と言われたので「じゃあ私は破たんしないバージョンを考えるから、キミは破たんしたバージョンを考えてくれ」と返した。

 

そんな夫にコロナ給付金の10万円を渡したら、武器を購入していた。

 

夫は金や出世に興味がなく、世間の評価やモノサシにも興味がない。彼は私に妻の役割だとか「女はこうあるべき」といったジェンダーロールを一切押しつけてこない。そういうパートナーが私には合っていたのだろう。

 

「武器を買う男と結婚するのは真っ平DEATH!!」とTHの発音で言われるかもしれないが、人の数だけマッチングがある。

 

「モテよりマッチング」を合言葉にして、あなたにとってのベストパートナーを見つけてほしい。

【アルテイシアさんよりお知らせ】
性暴力防止の啓蒙動画の脚本を書きました!ぜひご覧ください。

新刊『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由
アルテイシア『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由 』

オタク格闘家と友情結婚した後も、母の変死、父の自殺、弟の失踪、借金騒動、子宮摘出と波乱だらけ。でも変人だけどタフで優しい夫のおかげで、毒親の呪いから脱出。楽しく生きられるようになった著者による、不謹慎だけど大爆笑の人生賛歌エッセイ。

爆笑の人生賛歌エッセイ。

アルテイシア

アルテイシア/作家。神戸生まれ。『59番目のプロポーズ』でデビュー。著書に『モヤる言葉、ヤバイ人』『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』『40歳を過...

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