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25歳になる女性を待ち受ける性差別を蹴とばす方法 後編

25歳になる女性を待ち受ける性差別を蹴とばす方法 前編
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25歳になる女性を待ち受ける性差別を蹴とばす方法 前編」もぜひご覧ください。

44歳の私は階段を上るだけで息が切れて、「救心をください!」状態になる。けれども、精神的には20代が一番苦しかった。

「セクハラされても笑顔でかわすのが賢い女」と洗脳されて、本当はイヤでもイヤだと言えなかった。そうやって感情を押し殺して、自尊心をゴリゴリに削られていった。

若い女子には、過去の自分みたいな思いをしてほしくない。年長者の責任として後輩たちを守りたい。というわけで、以下を参考にしてもらえれば幸いである。

相談する

25歳になる女性を待ち受ける性差別を蹴とばす方法 前編
性差別やセクハラを受けた時に「一番大切なのは、相談できる味方を作ること」と弁護士の女友達がアドバイスをくれた。

「孤立すると精神的に追いつめられるので、周りの同僚、上司、先輩に相談して協力を求めてほしい。たとえば、加害者に対して第三者が『それダメですよ』『やめた方がいいですよ』と注意するだけでも効果的だから」

それでも事態が改善しない時は、迷わず弁護士に相談してほしいという。

たとえば「労働弁護団」のHPには「女性弁護士による働く女性のためのホットライン」が載っていて、電話で無料相談ができる。

「弁護士に相談した」と職場で話すだけでも、加害者をビビらせてけん制する効果があるそうだ。

社内のコンプライアンス室や人事などに相談する際も「弁護士に相談した」と話せば、より真摯な対応を期待できるだろう。

彼女は「被害を受けたら、必ず記録を残しておくこと」と強調していた。「日記やメモでもいいし、同僚や友人へのメールやLINEでもいい。それが自分の身を守ることになるから」とのこと。

今はスマホで簡単に録音もできるし、記録や証拠を残すことを心がけよう。

もちろん、はなから被害に遭わないのがベストである。なので「親せきに弁護士がいて、セクハラやパワハラを主に扱っている」などホラを吹くのもおすすめだ。

「その親せきは金髪碧眼のオッドアイで」とか言うと疑われるので、設定は盛りすぎないようにしよう。

アラサーの女友達は「会社の上層部にセクハラ被害を訴えてもまともに相手してくれなくて、しかたなく父親に同席してもらったら、おじさんたちの態度が一変した」と話していた。

男が出てくると態度を変える、その男尊女卑っぷりが許せない。超大型巨人になって社屋ごと踏みつぶしたいが「非常時には、使えるものは何でも使え」も真理である。

なので使えそうな親父殿であれば、登場いただくのもアリである。「父親に職場の悩みを相談した」と話すだけでも、加害者をけん制する効果があるだろう。

キャラ設定

25歳になる女性を待ち受ける性差別を蹴とばす方法 前編
セクハラやパワハラに遭った女子は「私に問題があるのかも」と自分を責めがちだが、そうじゃない。相手が「(自分より)若い女は無力で抵抗できない」と見下して、標的にしているのだ。

よって標的にされないために、「やられたらやり返す」「訴訟も辞さず」キャラをアピールしよう。

たとえば、セクハラの話題になったら「セクハラ野郎は一匹残らず駆逐してやる…!」とエレンぐらい瞳孔を開こう。

平気で誘ってくる既婚者もいるので、「不倫反対強硬派アピール」も効果的。「二次元でも不倫設定は地雷なんですよ、『妻にチクるぞ、会社にバラすぞ』と思うんですよね!」と強調しておくといい。

私が20代の頃は「社員は家族(ダブルピース)」的な風潮が強かったが、若い世代は「仕事とプライベートは分けたい」「プライバシーを詮索されたくない」という人が多数派だ。

一方「彼氏は?結婚は?」など、他人のプライバシーに踏み込む老害族はいまだに多い。彼らをブロックするために「資格の勉強で忙しい」「要介護の祖母がいる」などの設定を作っておくと便利。

すると「彼氏は?結婚は?」と聞かれた時に「今は祖母の介護で余裕がなくて…」と返せるし、飲み会をパスしたい時も「今日は祖母の病院に行くので…」と断れる。

職場では「挨拶と報連相をちゃんとする」といった基本さえ守っていれば、悪印象にはならない。「笑顔で愛想よくしなきゃ」と気負わなくても、円満な人間関係は築けるので大丈夫。

人には様々な事情や生き方やセクシャリティがあるのに、余計な口出しをしてくる方がおかしいのだ。

多様性社会とは、人の生き方を邪魔しない、余計な口出しをしない社会である。それを理解できない老害の発言はスルーして、心の中で「バルス!」と唱えよう。

返し技を増やす

25歳になる女性を待ち受ける性差別を蹴とばす方法 前編
「女はいつも笑顔で愛想よく」「セクハラされても笑顔でかわせ」…等など。

男社会は古ぼけたジェンダー役割を女子に押しつけてくるが、むしろその期待に応える方が標的にされやすい。

たとえば、セクハラ発言された時に「何言ってるんですか~」と笑顔で返すと、加害者は「相手も喜んでる」とガチで勘違いしたりする。

そうした事態を避けるために、まずは反射的に笑顔を出すクセをやめよう。そのうえで、返し技の手数を増やしてほしい。

たとえば「そんなんじゃ嫁にいけないぞ(ドッ!)」と言われたら「あまり私を怒らせない方がいい」とプーチン顔をキメよう。その表情だけでも相手はひるむはずだ。

プーチン顔が難しければ、真顔で「えっ?」と相手をまじまじ見つめよう。それで「古典的な考え方なんですね…」と返してもいいし、「えっ、なんでですか?」「どういう意味ですか?」と質問返しもおすすめだ。

「彼氏は?結婚は?」と聞かれた時も「えっ、なんでそんなこと聞くんですか?」と真顔で返そう。相手が吉良吉影なら爆殺される恐れがあるが、あんなスタンド使いはめったにいない。

強めの返しができない場面では、明菜返しがおおすすめだ。

中森明菜のマネをする友近のマネをして、小声&伏し目で「いろいろあって……」「結婚って……何なんでしょうね……」と返せば、「この人に恋愛や結婚の話題は地雷だ」と印象づけられる。

また「若いうちに結婚した方がいいぞ!」とか言われたら、「○○さんはそういう考えなんですね」「○○さんはそういう考えなんですか」とbot返しをキメよう。

ひたすらbot返しすれば相手は話す気を失うし、「貴様の意見を押しつけるな」と暗にアピールもできる。

立場的にイヤでもイヤだとハッキリ言えない場面もある。私も取引先に「食事しながら仕事の話をしたい」と言われて断れなかったし、その帰りにホテルに誘われたりした。

マンツーマンで会おうと言われても、なるべく上司や先輩に同席を頼もう。そこで「2人きりで会いたい」と押ししてくる相手は疑った方がいい。

どうしても2人きりで会わないといけない場合は、「親せきに弁護士がいる」設定をアピールしよう。

また「今日は両親がうちに泊まりにきてるんですよ。うちの父は心配性だから、12時までに帰らないと殺される」とけん制しておくのもおすすめだ。

本来は、女子が自衛しないといけない社会がおかしいのだ。

けれどもヘルジャパンでは「男を性犯罪者あつかいするな」「自意識過剰だ」と女が責められ、いざ被害に遭うと「なぜ自衛しなかった」「女にスキがあった」と責められる。

万一被害に遭ってしまった時は、セクハラ被害に詳しい弁護士に相談しよう。先述した労働弁護団には、セクハラ被害専用のホットラインもあるので参考にしてほしい。

逃げる

私は入社6年目の時に「もうアカン」と心療内科で診断書をもらい、1か月休職した後に退職した。あの時「もうアカン、逃げよう」と決意した自分を褒めてやりたい。

三十六計逃げるに如かず、これは「アカンと思ったらゴチャゴチャ考えず逃げろ」という意味だ。

「逃げちゃダメだ」「逃げたら負けだ」「逃げるは甘えだ」「逃げてどうする?」とか考えているうちに、人は逃げる気力を奪われる。学習性無力感(長期間ストレスにさらされた人が、逃げようとする行動すら起こせなくなる状態)に陥って。

私はその手前で逃げられてラッキーだった。退職後、紆余曲折の末に物書きになり、「死ななくてよかった…!!」とショーシャンク万歳をキメている。

若い頃は仕事以外にも恋愛や毒親問題で追いつめられたが、「逃げるが勝ち」をモットーに生き延びた。詳細は新刊『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』を読んでほしい。

「置かれた場所で咲きなさい」という言葉があるが、私にはド根性大根みたいなガッツはないし、置かれた場所がクソだったら一生クソから脱出できない。

むしろひとつの場所に縛られない方が、自分に合った場所が見つかるチャンスが増える。この場所でがんばるのは無理と思ったら、しばらく休んでから、また別の場所でがんばればいい。

私の周りにも休職経験者は多いが、みんな転職したり部署異動したりして、今でも元気に働いている。

だから疲れた時はいったん休んで、周りに助けを求めよう。「自分は今とてもつらい、助けてほしい」と素直に言えることは、女子のすばらしい強みなのだから。

【アルテイシアさんよりお知らせ】
性暴力防止の啓蒙動画の脚本を書きました!ぜひご覧ください。

新刊『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由
アルテイシア『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由 』

オタク格闘家と友情結婚した後も、母の変死、父の自殺、弟の失踪、借金騒動、子宮摘出と波乱だらけ。でも変人だけどタフで優しい夫のおかげで、毒親の呪いから脱出。楽しく生きられるようになった著者による、不謹慎だけど大爆笑の人生賛歌エッセイ。

爆笑の人生賛歌エッセイ。

アルテイシア

アルテイシア/作家。神戸生まれ。『59番目のプロポーズ』でデビュー。著書に『モヤる言葉、ヤバイ人』『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』『40歳を過...

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