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多様性のなかに「幼さ」は許されるのか

別れる ライン
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「ダイバーシティ、多様性」という言葉が広まって、難しくなったな。
と、思う事件がありました。

あるカップルの話です。
二人は34歳と36歳。
つまり、まあまあの大人です。

ですが、彼女側はわりと「かわいい系」の女性でした。
幼さの残る彼女を最初は「かわいい♡」と思えていた彼も、徐々に彼女の子供っぽさについていけなくなります。

「うるさい!わかってるよ!」と泣きわめく彼女

喧嘩はささいな理由から始まりました。
彼女がキャッシュカードを、ATMの隙間へ落としてしまったのです。
定規を差し込んでも、ペンを突っ込んでも出てこないキャッシュカード。
だんだん彼女もイライラしてきました。

とはいえ、もっとつらいのは巻き込まれた彼です。
ようやく取り出されたホコリまみれのキャッシュカードを見て
「もう、次回からちょっと気をつけろよな」と声をかけました。

そこで彼女は「うるさい!! そんなのわかってるってば!」と大声で泣き出してしまったのです。
ざわつく店内に、あせる彼。
どう見ても彼がなにか酷いことをしたとしか、傍目には見えません。

ヒステリックに泣く彼女から事情を聞くと
「よかったね、カードが出てきてくれて」
と、優しく慰めてほしかったのだとか。

たしかに、それができたらジェントルで素敵ではありますが、彼だって人です。
彼女の落とし物につきあわされて、イライラしたのは同じでした。
お兄ちゃん……いえ、パパっぷりを求められて彼もドン引き。

それ以外にも、似たエピソードが重なったこともあって、彼はお別れを決意しました。

「幼さ」も多様性の一貫だから認めるべき?

趣味 インドア

私がこの手のエピソードを聞くのは、一度や二度ではありません。

ただ、ここ数年で大きく変わったのは
「私がこういう性格なのも、多様性のひとつなんだから認めてよ」
「これが”ありのままの私”なんだから、それを受け止めて」と、
幼さを改善しないまま、受け入れられたいという発言が増えたことです。

これは何も、女性に限ったことではありません。
男性も、
「自分が怒っちゃうのは仕方ないんだから、これが俺だと受け入れて」
「趣味に没頭して育児に関心を持てないのだって、俺の特性だよ」と、
成長を拒否する姿勢を喧嘩で見せる人が、増えてきたのです。

確かに、多様性とかダイバーシティという言葉は、この数年で一気に広まりました。
そして、多様性を否定する方がカッコ悪い……どころか、許されない雰囲気になってきました。

しかし、相手のために自分を頑なに変えようとしないことを
「多様性だから受け入れろ」と叫ぶなら、いつか周りの人が離れていきます。

「幼くありたい」のは勝手だけれど

幼くありたい……と願うのは自由です。
けれど、多様性を免罪符にして、幼いままでいることは「いっぱしの大人」としてどうなんでしょうか。
もしくは、大人にならない自由も含めて多様性なのでしょうか?

答えはYES。
「幼くありたい」
「頑張りたくない」と願うのだって、多様性です。
あなたはあなたのままでいい。

ただし、誰と付き合うかを決めるのは、あなた以外の人です。
幼いだけの人からは、賢い人が離れていきます。
人は似た者同士で付き合うものだから。

幼い人を相手して「いいこ、いいこ」としてくれるのは親だけです。
多様性とは、自分で自分の生き方を選べる世界。
と・同時に、自分で自分の人生へ、責任を負う世界でもあります。

押し付けられない代わりに、帰結がどうなるかを自分でも考えなくては。
そう考えると「多様性の時代」というのは、とても恐ろしい時代でもあるのだなあ、と思わされます。

トイアンナ

ライター。人生相談をこれまでに1,000件以上受けた経験から恋愛について執筆。書籍『恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか?』『モテたいわけではないのだ...

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