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痴漢に遭ってから婚活意欲が激減してしまいました…アルテイシアさんの人生相談 前編

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Curet編集部です。今回、あたたかく優しく女性を力づけてくださることで人気の作家、アルテイシアさんに「痴漢されてから、婚活意欲が激減してしまった」という女性のお悩みに答えていただきます。

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結婚したいのに、痴漢されてから婚活意欲が激減してしまった

私は34歳で、事務スタッフの仕事をしています。

安定はしているけど、昇給ナシな職場。親は資産ナシ。
結婚しないとリアルに老後がやばいので、婚活を昨年始めたばかりでした。

ですが、そのタイミングで、電車で痴漢に遭ってしまいました。

電車を降りてもつきまとわれて、ダッシュで女子トイレに逃げて、怖くてトイレから出られなくなり、非常ボタンを押して駅員さんを呼んで助けてもらいました。

その後、ありがたいことに犯人は逮捕されました。

警察も優しい方ばかりで、恵まれていると思います。

でも、たかが痴漢のはずなのに、それから結婚意欲が激減してしまって…。婚活アプリも全部消してしまいました。

結婚しないと経済的にしんどいのは分かっているのですが。どうしたら前へ進めるでしょうか?

これをヘルジャパンと呼ばずして、何と呼ぶのだろうか

痴漢に遭ってどれほど怖い思いされたことか…と胸が痛んだ。この相談を送るのも勇気がいったと思う。

あなたの気持ちが少しでも楽になることを願って、以下の文章を書きたい。

相談を読んで、女性のつらさを煮詰めたような内容に涙目&白目になった。

カレー沢薫先生が著書『女って何だ?』に次のように書いている。

『突然だが、私の会社員としての手取り月給は12万円だ。今の会社に入って8年ほどになるがほぼ変わらず、そしてこれから何十年勤めても変わらないだろう。

つまり私は、会社員としての収入だけでは、老後確実に「詰む女」なのである。そこから脱するには、「ある程度収入のある男と結婚」以外にないのだ。

(略)つまり現代は、「普通に地方の学校を出て普通の地方一般企業の事務職の正社員になり1日8時間働く」ぐらいでは、老後に「詰む」世の中なのだ』

“普通の女性”が生きるためには、実家に頼るか、結婚するしかない。もし老後に生活に困ったら「自己責任」と叩かれる。

そんなゲボ吐きそうな国で「生きるために結婚しなきゃ」と婚活を始めた矢先、痴漢に遭って婚活できなくなってしまった(←今ここ)

ヘルジャパン(ヘルジャパン)

これをヘルジャパンと呼ばずして、何と呼ぶ。

あなたは正しい判断をできている


あなたにまず言いたいのは、怖い体験をして心に傷を負って婚活できなくなったのは、きわめて自然な反応だ、ということ。

見知らぬ男に痴漢されて怖い思いをしたのだから、婚活で見知らぬ男性と2人きりで会うことに、不安や恐怖を感じるのは当然である。

それは、自己防衛本能がちゃんと働いている証拠なのだ。

それでも日常生活を続けているあなたは、めっちゃ頑張っている。最優秀敢闘賞を送りたい。

「最優秀敢闘賞」と賞状に毛筆で書きつつ、「そんなに頑張らなくていいんやで」と言いたい。

あなたは「全ての男性が痴漢するわけじゃない」なんて百も承知で、「ほとんどの男性は性犯罪なんてしない」と自身に言い聞かせているだろう。

でも、犬に噛まれて大ケガした人は、犬が怖くなって当然だし、犬に近づきたくなくなって当然。

「噛まない犬もいる」と頭では分かっていても、「よし、犬を飼おう!」とペットショップに行く気になど当然ならない。

つまりあなたの感じ方は、きわめて正常なのだ。

だから「たかが痴漢に遭ったぐらいで」「こんな自分は心が弱い」とか、絶対思わないでほしい。

必要なのは、適切なケアを受けること


むしろあなたは自分の心を守るために、婚活をお休みしようと思ったのだ。こんなキツい状況の中で、ちゃんと正しい判断をしたのである。

めっちゃ偉い(めっちゃ偉い)

めっちゃ偉いあなたに必要なのは、トラウマから回復するために、適切なケアを受けることだと思う。

私は痴漢、セクハラ、ストーカー、DV、イジメ…等など、男性に傷つけられた経験のある女性たちと大勢会ってきた。

人によってトラウマの影響の出方は様々だ。

「男性に近づかれるとパニックになる」「職場で普通に接するのは平気だけど、男性と2人きりになると怖い」「普通に話すのは平気だけど、体に触られると怖い」「好意や性欲を向けられると嫌悪感を抱く」等など、いろんなケースがある。

こうしたトラウマからの回復には、適切なケアを受けられたかどうか?が鍵になる。

トラウマ治療の専門家の本にも「トラウマ体験後に支えてくれる味方がいたか?1人で抱えなければならなかったか?がもっとも大きな影響を与える」と書いている。

あなたの前へ進もうとする心意気は素晴らしい。けれども「前へ進まなきゃ」と焦らないでほしいのだ。

今は心の回復を最優先にして、「もう大丈夫」「婚活を再開してみようかな」と思えるようになるまで待ってほしい。

今焦って無理に動こうとすると、心の傷が悪化してしまう恐れがあるから。

たとえば、事故に遭って骨折したのに「こんなの大したことない、かすり傷だ」と無理に歩こうとすると、傷は治らないどころか悪化してしまう。

心の傷もそれと同様に、適切なケアと休養が必要なのだ。

あなたの焦る気持ちはよーくわかる。でも「傷は癒えた!!」とラオウのように言えるようになるまで待って、それから動いた方が結果的にうまくいくと思う。

後編では、トラウマから回復する方法を紹介します。

痴漢に遭ってから婚活意欲が激減してしまいました…アルテイシアさんの人生相談 後編を読む

アルテイシア

アルテイシア/作家。神戸生まれ。『59番目のプロポーズ』でデビュー。著書に『モヤる言葉、ヤバイ人』『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』『40歳を過...

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