25歳になる女性を待ち受ける性差別を蹴とばす方法 前編
Curet編集部です。今回、あたたかく優しく女性を力づけてくださることで人気の作家、アルテイシアさんへ、人生相談にお答えいただきました。
***
今回、Curetの若い女性読者に向けてコラムを書くことになった。
担当氏からいただいた依頼内容は以下である。
医大入試で女性差別が発覚したりと、ジェンダーギャップ指数121位のヘルジャパンを実感する日々です。
一方、20代前半の女性は比較的、性差別の薄い環境で育った方が増えています。
ということは、社会に出ていきなり性差別やセクハラに直面して、ショックが大きいと思います。
そんな女性たちへ「たしかに日本はヘルだが、性差別を蹴り飛ばしていいぞ!」とエールを送るコラムをお願いします。
日本のジェンダーギャップ指数は世界153カ国のうち121位で「よっ、さすが男尊女卑がお家芸の国!クールだね!」とお墨付きをもらったわけである。
この調査の中身を見てみると、「健康」「教育」の分野は高スコアであり、男女格差はほとんどない。一方「経済」「政治」の分野のスコアが著しく低いため、この結果となっている。
政界や財界の「女性活躍(キラキラ)」系のポスターに並んでいるのはおっさんばかり、というギャグみたいな絵面が現実を表している。
経済の分野では、男女間の賃金格差が大きく、女性の管理職がむっさ少ない。政治の分野では、女性議員や女性閣僚がげっさ少ない。
つまり社会の仕組みを作る側、意思決定する場に女性がバチクソ少ないのだ。そんな男性リーダーばかりの国では、男性優位の社会になるのは当然だろう。
以上から、学生時代は男女差別をほとんど経験しなかった女子が、いざ社会に出ると男尊女卑にぶん殴られて「この世界は地獄だ…」とアルミン顔になるのだ。
44歳の私が広告会社に入社した頃は、地獄みがさらに深かった。当時のことを「終わらない悪夢を見ているようだったよ…」とユミル顔で振り返る我である。
当時、私は男性上司の1人から「ま○こ」と呼ばれていた。Curet の表記上もアウトだが、どの世界線でもアウトな呼び名である。
通勤電車で痴漢に遭ったことを男性上司に報告したら「顔射されたのか?(笑)」とイジられたりもした。また取引先の担当者に無理やりキスされたり、ホテルに誘われたりもした。
そんな中、激務で徹夜明けに出勤したら「今日は特にブスだな」と男性上司に言われて、トイレで「死んじゃおっかな」と泣いたことを覚えている。
といった地獄の黙示録をコラムに書くと「そんなのは特殊な世界だろ」とよく言われる。
「今はもう女性差別なんてない」「むしろ女の方が得してる」とトンチキなリプも飛んでくる。
アンチフェミからのクソリプが赤潮のように発生するのは、もう慣れっこだ。現実に女性差別は存在するし、20代の女子から性差別やセクハラの報告が多数寄せられる。
「会社の飲み会で『○○ちゃんにおっぱい触らせてもらえよ』と言われた」「男性社員が女子の顔面偏差値ランキングをつけていて、『おまえは最下位クラスだから』と言われた」…等など。
2020年、これがクールなヘルジャパンの現実なのだ。
「女は子どもを産むから」と進学や就職で差別され、産休育休を取ってもベビーカーで電車に乗っても迷惑がられる社会で「じゃあ子どもを産まない」と女が選択すると「けしからん、ワガママだ」と責められる。
職場では「女には期待しない」「がんばっても無駄だ」と頭を押さえられ、がんばらないと「やっぱり女は仕事ができない」とナメられる。
そんな中、決死の思いで出産すると保育園に入れるのはむっさハード、保育園に入れても働きながら子育てするのはげっさハード、ワンオペ育児で死にそうDEATH!!
みたいな地獄に生まれた女子はみんな、生きてるだけで偉いのだ。
私はいつも同じことを言っているが、今後も女子に向かって言い続ける。みんな生きてるだけで偉いんだから、どうかトイレで1人で泣かないで。
「これぐらい我慢できないなんてダメだ」と自分を責めないで。女子はみんながんばりやさんで、本当はもう無理なのに無理だと気づけない。それで限界までがんばって、心も体も壊れてしまう。
あなたはそんな目に遭っちゃいけない。あなたをそこまで追いつめる側が間違っているのだから。
というわけで、後編は性差別やセクハラを蹴とばす方法、及びヘルジャパンを生き延びる方法を書きたいと思う。
【アルテイシアさんよりお知らせ】
性暴力防止の啓蒙動画の脚本を書きました!ぜひご覧ください。