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男性の小さな欠点が気になって、恋人候補から外してしまう全女性へのアドバイス

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女性読者から絶大な人気を集める、ラブホの上野さん。厳しくも優しいアドバイスをくださる上野さんに、人生相談をさせていたただきました。今回のお悩みは「恋人候補の男性がエスコートしてくれなかったり、テーブルマナーができていないくらいで、すぐに足切りしてしまう女性」からのご相談です。

 

職場の男性とランチへ行けることになりました。雰囲気のいいイタリアンで、話も盛り上がりました。ただ、彼がパスタを食べるときにフォークだけで食べようとするのが気になってしまって。そんなに些細なことで……と自分でも思っているのですが、後からどんどんモヤモヤしてきて。単純に私の心が狭すぎるのでしょうか。こんな理由で冷めてばかりいたら、一生彼氏ができないんじゃないかと不安です。このモヤモヤの理由を、教えてください。(30代女性・事務職)

 

「男性のささいなところが気になって、お付き合いできない」

なかなかに面白い条件で男性の足切りをしている女性です。

あなたはちょっと良いなと思った男性とデートをしたのに、相手の男性が食事中にフォークだけでパスタを食べているのを見て「ない」と思ったそうですね。

失礼ながらこれだけ見ると、私もさっぱり意味が分かりません。食べるのが汚いとか、食器をかちゃかちゃ鳴らすという理由であればまだしも、彼女は「食事にスプーンを使わなかった」というただそれだけの理由でその男性を足切りしてしまったのです。

「イタリアではスプーンなんて使わないよ」とか「フォークでも綺麗に食べれば良いじゃん」と言いたくなる皆様のお気持ちは分かりますが、彼女のことを「理想が高すぎる面倒な女」と断定してしまう前に、彼女が一体何故こんなしょうもないことで足切りをしてしまったのかを考えてみましょう。

 

本当は彼女が恋人を選ぶ上でフォークはどうでも良い

 

もしも彼女が本当に「スプーンを使わなかった」だけで足切りをしているのであれば、これはもうどうしようもありません。彼女のもとにスプーンを使ってパスタを食べる男性が現れることを祈るばかりで御座います。

しかし現実的に考えて「スプーンを使わなかった」というそれだけの理由で彼女が足切りをしているとは到底思えません。もちろん、「できればスプーンを使って欲しい」くらいの願望を持っている方はいるかも知れませんが、そんな些細なことを本気で足切りのラインとして使っている方がいたら、あまりにも狭量でしょう。

例えば彼女が大好きな芸能人とデートをしていたどうでしょうか?

おそらく彼女はフォークのことなど気にもならなかったことでしょう。つまり彼女はフォーク云々のことをそこまで本気で考えているわけではないのです。

それでは彼女は一体何故「フォークのことが気になった」と仰っていたのでしょうか?

おそらく彼女にとっては「彼とのお付き合いは無し」という結論が先にあり、その原因を探していたのでしょう。つまりもしも彼がスプーンを使ってパスタを食べていても、それはそれで何かしら別の粗を探して「無し」と判断していたということで御座います。

逆に言えば、彼女が必死で粗を探した結果「スプーンを使わなかった」なんていう微妙な問題点しか見つからなかったということは、その男性はかなりソツの無い人物であったと予想されます。

「食器をガチャガチャしてる」とか「店員さんに横柄だった」というようなもっと分かりやすい理由があれば、彼女はそれを理由に彼のことを「無し」と判断していたことでしょう。そうではなく「フォークだけでパスタを食べていた」なんていうしょうもない理由を選んだということは、それ以外に彼の問題点が見つからなかったことの証明ですらあるのです。

それでは彼女が「無し」と判断した本当の原因は一体なんでしょうか?

 

なぜ彼と付き合いたくないのか、彼女自身にも分からないor言えない

今回の女性のように意味不明すぎる理由で足切りをしている場合、本当の理由が別に隠されていると考えた方が良いでしょう。

しかし、彼女は「スプーンのことが気になった」と言って相談をされているのです。

もしも本当は別の理由があるのであれば、それをご質問文に書いても良さそうなものでしょう。

それでは一体何故この女性は「スプーンが気になった」という謎の理由を書いたのでしょうか?

それは「彼女自身にも分からないから」という可能性が高いでしょう。

彼女自身も自分が何故彼のことを「無し」と判断したのかが分かっておらず、仕方なく覚えているスプーンの話を書いたのです。

彼女自身もスプーンが決定的だったなどと思ってなどおりません。ですがそれ以外に思い当たる節がないので、仕方なくスプーンと書いたということで御座います。

それでは彼女が「無し」と判断した本当の原因は一体何なのでしょうか?

もちろん本当のところは分かりません。しかし本人すら分からないうちに「無し」と判断する原因は大抵の場合3つに集約されるでしょう。

原因(1) 彼女はそもそも恋愛に乗り気ではなかった

 

そもそも恋愛に乗り気ではないのであれば、相手が誰であるかは関係なく「無し」と判断するのは当然でしょう。満腹で食欲がない時に豪華ディナーを出されても食べないのと同じで御座います。

この場合、本人には恋愛の意欲がないものの、社会的圧力で「恋愛をしなくてはならない」と思い込まされている可能性が高いでしょう。もっとも分かりやすいのは結婚で御座いますが、大学に入り友人たちが彼氏を作り始めたので「自分も作らないと!」と焦っている場合などもこれに該当します。

また微妙に構造は異なりますが、心に決めた男性が別にいるというパターンもこれに該当するでしょう。

明確に好きな男性がいる場合、「それ以外の男性との恋愛に関しては乗り気ではない」という構造が成立します。恋愛そのものに乗り気では御座いませんが、相手の男性に関係なく乗り気ではないという意味では全く同じ構造と言えるでしょう。

またこちらの場合、その心に決めた男性が社会的に許されない関係である可能性が高いでしょう。

もしも許される関係である場合「心に決めた人がいる」という自分の願望と素直に向き合うことが出来るので、スプーンなどという意味不明な理由に着地することは御座いません。

社会的に許されない恋だからこそ、「自分は諦めている」と心に言い聞かせて本当の理由が見えなくなってしまっているのです。

 

原因(2) 恋愛対象にできないほどの言語化できない不快感を抱いた

 

簡単に言えば「なんか嫌」という理由で御座います。

「何か分からないけど何か嫌」というのは非常にありふれた理由で御座いますが、人に「無し」の理由を聞かれた時に「何か分からないけど何か嫌」とは言いにくいものでしょう。

また人間は「明確な理由がないこと」にストレスを感じるもので御座います。

隣の部屋で物音がした時に、隣の部屋の窓から風が吹き込んでいて段ボールが落ちていれば安心出来るように、人は「明確な理由」がないと安心できないものなのです。

そのため「何か分からないけど何か嫌」という理由で納得できず、自分なりに適当な理由をでっち上げてしまうことは十分に考えれらるでしょう。

この場合、本当の理由は何か別のところにあるのですが、その理由は本人すらも分かってはいないのです。

 

原因(3) 社会的に言えない足切り基準があった

 

例えば「黒人と黄色人種は無理。私は白人以外愛せない」という女性がいたとしましょう。個人の趣味の話なのでそのことを言及するつもりは御座いませんが、こんな理由を口にしたら、世間的に大バッシングをされるのは避けられません。

ですので仮にそう思っていたとしても、普通の人はそれを隠して生活をするのです。さらに一般的な価値観を持っていればいるほど、自分の中にある極めて差別的な嗜好に耐えられず、その嗜好がないかのように自分に言い聞かせてしまうのです。

つまり本人は肌の色で判断しているにも関わらず、そのことを自分の理性が認められず別の理由を探してしまうということ。

これは現実世界で非常によく見られる光景でしょう。

人間は自分の行動の理由を綺麗な理由に正当化したがる生き物なのです。性的嗜好を理由に採用を見送った面接官は「単純に能力の問題で落とした」と自分に言い聞かせますし、顔で女性を振った男性は「性格が合わなかった」と自分に言い聞かせるのです。

おそらく皆様は自分はそんなことをしないとお考えのことと思いますが、この問題の最大のポイントは「本人すら気がついていない」ということでしょう。

先ほどの面接官の例ですと、面接官本人は心から「能力が足りなかったから落とした」と思い込んでいるのです。ですので彼もまた「自分はそんなことをしない」と胸を張って言うことでしょう。

ですので私も皆様も「自分はそんなことをしない」と言うことは出来ません。本人すら気が付かない問題なのですから、主観で「そんなことしない」と断言できるはずもないのです。

ここで1つ注意して頂きたいのですが、私は恋人を肌の色で選ぶことが悪いと全く思っておりません。そして同時に「肌の色で恋人を選ぶような人だから嫌い」と思うこともまた全く問題がないと思っております。

会社や学校のような公益性の高い組織の選択に差別が混じるのは問題ですが、個人の嗜好に差別が入るのは当然ですし、何か問題があるようなこともないでしょう。

そんなことを言ったら「俺が橋本環奈さんと付き合えないのは、橋本環奈が差別をしている!」なんて話もまかり通ってしまうのです。

もちろん個人の嗜好とは言え、それを理由に加害行動をすることは許されません。肌の色が違うから殴るなんていうのは、肌の色に関係なくどう考えても許される行動ではないでしょう。

ですが個人の嗜好で付き合う相手を選ぶことは何の問題もないと私は考えます。

 

本当はなぜ彼を恋人候補から足切りしたのか考えましょう

いただいた質問の内容だけでは、今回の女性が一体何故「無し」と判断したのかは分かりません。

もしかしたら本当に「パスタを食べるときにスプーンを使わなかった」ことだけが原因で足切りしているかも知れませんし、私の予想通り、何か別の理由で落としている可能性もあるでしょう。

もしも今回の女性が本当に「スプーン」を理由に落としているのであれば、私からお伝えしたいことは特に御座いません。

ですが、もしも別の理由で落としているにも関わらず、それを「スプーン」が原因だと思い込んでしまっているのであれば、注意をしなければならないことがあるでしょう。

例え偽りの理由であったとしても、それを口にしてしまうとそれが「落とす理由」として自分の中で確立してしまいかねません。

つまり本当はスプーン云々なんてどうでも良いと思っていたのに、それを口にしてしまったことで、その条件が本当に存在する条件になってしまうのです。

恋愛に限った話ではありませんが、条件が増えて得することなんて何もありません。悪戯にハードルを上げて、自分の世界を狭めてしまうだけでしょう。

極端な話、女性の友人がスプーンを使わなかっただけで「もしかしたら私と彼女は合わないのかも知れない」なんて思ってしまうことすらあるのです。

ですのでもしも皆様が「スプーンを使わなかった」というような理由で「無し」と判断してしまった場合は、それが本当に自分にとって重要な条件だったのかを考える必要があるでしょう。

もしも芸能人のAがスプーンを使っていなかったら幻滅するか?

もしも友人のBがスプーンを使っていなかったら幻滅するか?

それが「NO」であるならば、スプーンはさほど重要な条件ではなく、何かしら別の理由で「無し」と判断していることに気が付けるでしょう。

「なんか分からないけど無し」で良いのです。

「肌の色が気に食わない」でも良いのです(世間的に言わない方がいいですが)。

金がないでも、顔が気に食わないでも、長男だからでも、大学が微妙だからでも。

人の嗜好はそう簡単に無くなりません。ですが大して重要でもない条件を増やしていくのは簡単なことなのです。

ですので無駄に条件を増やさないよう、「なんか分からないけど無し」な時は「なんか分からないけど無し」で留めなくてはなりません。理由がないものに理由をつけて言葉にしてしまうと、無駄な条件が増えてどんどん自分の首を絞めていってしまうのです。

ラブホの上野

都内某所のラブホスタッフ。 ラブホの上野さん原作・各種コラムの執筆をさせていただいております。

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