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痴漢に遭ってから婚活意欲が激減してしまいました…アルテイシアさんの人生相談 後編

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Curet編集部です。今回、あたたかく優しく女性を力づけてくださることで人気の作家、アルテイシアさんに「痴漢されてから、婚活意欲が激減してしまった」という女性のお悩みに答えていただきます。

痴漢に遭ってから婚活意欲が激減してしまいました…アルテイシアさんの人生相談 前編から読む
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本音を話せるカウンセラーを見つけよう

相談者殿には、性被害者のためのカウンセリングを受けることを検討してほしい。

性被害については、専門機関にアクセスすることをおすすめする。

正しい知識や経験の乏しいカウンセラーに相談すると、余計傷つくことにもなりかねないので。

かつカウンセラーとの相性もあるので、「この人だったら安心して本音を話せる」と思える人を見つけてほしい。

こちらのサイトには、様々な性被害のケースに対応している相談機関が載っている。

一般社団法人Spring(https://ameblo.jp/spring-voice-org/entry-12351429711.html)

よかったらご自身が必要とする支援を受けることにつなげてほしい。

支えてくれる味方を見つけて、心を回復しよう


また、トラウマを正しく理解することが回復につながる。

私のおすすめは、精神科医の水島広子さんが書いた『対人関係療法でなおすトラウマ・PTSD』という本だ。

この本にはトラウマの仕組みや、そこから回復する方法が詳しく書いてあるので、ヒントになると思う。

専門的な知識は本を読んでもらうとして。以下、素人の拙者がトラウマについて学んだことを書きたい。

心の回復に必要なのは、本人だけじゃなく、周りの親しい人(信頼する友人や家族など)がトラウマを理解してくれること。「大変な目に遭ったんだから、そういう感じ方をするのは当然だよ」と認めてくれること。

それによって「自分の感じ方は正常なんだ」と本人が安心して、徐々に自信が回復していく。

が、トラウマの知識のない人は「気にしすぎない方がいいよ」「つらい過去は忘れて前へ進もう」とアドバイスしたりする。

相手はよかれと思って言うのだが、それはむしろ逆効果で、言われた本人は「気にしすぎる自分はおかしいんだ」「前へ進めない自分はダメなんだ」とさらに自信を失い、不安になってしまう。

そんなふうに自分の感じ方を否定されると、「どうせ話してもわかってくれない」と1人で抱え込んでしまう。

1人で抱え込まないこと、支えてくれる味方を見つけることが、トラウマの回復には必要なのだ。

なので、信頼できるカウンセラーや友人に相談してほしい。

友人に相談する際は「私の言葉を否定せず、アドバイスもせず、ただ話を聞いて受け止めてほしい」と伝えるのがおすすめだ。直接話しづらい場合は、メールやLINEなどで伝えるのもいいだろう。

そうやって安心できる場所で気持ちを吐き出すこと。ありのままの感情を否定せず、理解して受け止めてもらうこと。その積み重ねによって、不安や恐怖が軽くなっていく。

もちろん、つらい記憶を思い出すのは、とてもつらい(とてもつらい)。

けれども、繰り返し話すうちに、その記憶に慣れていく。

たとえばめっちゃ怖い映画を見て、眠れなくなったり夜中にトイレに行けなくなったりすることがあるだろう。

でも、同じ映画を何度も繰り返し見ると、どんどん慣れて怖くなくなる。それと同じ寸法でござる。

拙者は毒親育ちでトラウマを抱えていたが、自分でも飽きてゲップが出るぐらい、毒親についてコラムに書いたり話したりするうちに「どうでもええわ」という気分になってきた。

そして気づくとトラウマが軽くなり、「傷は癒えた!!」と言えるラオウ状態になっていた。

相談者殿もいつか必ずラオウになれる。それを信じて、今はゆっくり心の回復につとめてほしい。

(水島広子さんの『正しく知る不安障害 不安を理解し、怖れを手放す』もおすすめ。「不安を感じた時、不安に振り回されず、うまく対処する方法」が書いてあるので、ヒントになると思う)

痴漢に遭うのは異常事態。「たかが痴漢」ではない


最後に。私が一番涙目になったのは「たかが痴漢のはずなのに」という言葉を読んだ時だ。

相談者殿を含め、多くの日本人女性が「たかが痴漢に遭ったぐらいで」と思わされている。

「たかが暴漢に殴られたぐらいで」「たかが車に轢かれたぐらいで」なんて言い方はしないだろう。

ヘルジャパンでは、多くの女性が痴漢などの性被害に遭っている。痴漢が原因で男性恐怖症や性嫌悪症になってしまう女性も少なくない。

にもかかわらず、「痴漢モノ」「盗撮モノ」といわれるアダルト作品が溢れて、性暴力をエロネタやギャグとして消費する文化がある。

性暴力を軽視するこの国では「男には性欲があるから」「たかが痴漢ぐらいで人生棒に振るなんて」と加害者が擁護されて、「女に隙があった」「たかが痴漢ぐらいで大げさに騒ぐな」と被害者が責められる。

私も子どもの頃から何度も痴漢に遭ってきたし、周りで痴漢に遭ったことのない女性の方が珍しい。それは異常なことであり、「痴漢なんて大したことない」と刷り込まれていることがおかしいのだ。

「痴漢なんて大したことない」「だから傷つくなんて大げさだ」と刷り込まれていると、傷ついたことを認められず、適切な支援にもつながれない。

だから百万回繰り返すが、ちゃんとケアを受けてほしい。そうすればきっと「傷は癒えた!!」と言えるラオウになるし、ラオウになってから婚活を再開しても遅くない。

あなたが心穏やかに過ごせる日々が来ることを、心から願っている。

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オタク格闘家と友情結婚した後も、母の変死、父の自殺、弟の失踪、借金騒動、子宮摘出と波乱だらけ。でも変人だけどタフで優しい夫のおかげで、毒親の呪いから脱出。楽しく生きられるようになった著者による、不謹慎だけど大爆笑の人生賛歌エッセイ。

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アルテイシア

アルテイシア/作家。神戸生まれ。『59番目のプロポーズ』でデビュー。著書に『モヤる言葉、ヤバイ人』『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』『40歳を過...

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